2010年8月26日木曜日

You Can Do it!



我が家に滞在中の客人。スイス人親子。スイス人といってもフランス語やドイツ語ではなくイタリヤ語圏の方。四ヶ国語が話せるというのですから羨ましい限りです。父親は世界的に有名な水中リラクゼーションのリーダー。息子は18歳。工科大で航空工学を学ぶ学生。卒業したら空軍へ。そして、将来の夢は「宇宙飛行士」になること。その理由を聞いてギック(!)。子供の頃、父親に連れられ米国へ。首都ワシントンDCを訪れた時、スミソニアン博物館での衝撃が「夢」の発火点になったとのこと。同博物館で宇宙工学に関する数々の展示を観たことが強く影響しているのだそうです。昨今の日本の若者が失いつつある若者独特の「夢」への拘りと熱い想いを感じました。

彼ほどではないにしろ私もスミソニアン博物館には思い出があります。2002年4月、全米桜祭(National Cherry Blossom Festival)のイベントの一環でワシントンDCを訪問。その際に6つある同博物館の中でも特に人気のある宇宙博物館をジックリ観ました。広い玄関ロビーの両側に展示してあったのがアポロ11号と同13号。11号は、ご存知の通り、1969年7月20日、人類初の月面着陸に成功したモノ。13号は「成功した失敗」(Successful Failure)と称され映画化されたことでも知られています。1970年4月11月、地球から33万km離れた宇宙空間で事故発生。三回目となるはずの月面着陸を急遽断念。地球へのUターンを試み、奇跡的な帰還に成功したモノです。双方ともに人類の進歩に大きな貢献をしたのですが、ある意味、成功した11号より失敗した13号の方が大きな影響を与えました。

二つの実物が四分の一カットされ内部が見える状態で展示されていました。機体は小さく、機内の広さは『押入れ』程度。宇宙飛行士3人(男)が、肩を寄せ合い、息を潜め、励まし合っていた映画の一シーンが頭を過ぎりました。計器も機材も貧弱。こんな機器を手動で操縦しながら壮大な宇宙空間の中を小さいな地球へ向かって戻ってきたのか。そう思うと背筋が寒くなりました。

たった9年間の準備期間で月面着陸。ヒトの足跡を残してきた。その人類の英知と勇気は信じられないほどの偉大さを感じます。アポロ計画の数々の展示品の隅に、フランスの哲学者アランの言葉とされる有名な一節が記さていました。すなわち…

悲観は感情から生じ、楽観は意思から生じる
Le pessimisme est d'humeur; l'optimisme est de volonte

ちなみに、どこのスミソニアン博物館も拝観料は無料。特に小学生は優遇され、全員に有名なバッチが贈呈されます。子供たちは誇らしげにそのバッチを胸元に付けて館内を歩き回っています。それはスミソニアン協会創立者ジェームズ・スミソンの口癖だったとされる言葉で"You Can Do it!"(君ならキッド出来る)です。それが記された大きめなバッチです。宇宙飛行士になる夢を追っているスイス人の大学生も、幼い時のその日、胸元にあのバッチを付けて館内を観ていたに違いありません。色々な場所へ子を連れて行くことの大切さを痛感します。とは言っても、今の私には全てが遅すぎることなのですが…。

2 件のコメント:

  1. 匿名10:28:00

    全米桜祭って何ですか?教えてください。

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  2. junkonno14:52:00

    次に書きます。楽しみにして下さい。

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