2010年6月19日土曜日

聖地ギザロ峠の掟




自転車に興味ない人はどうでもイイことですが、イタリアとフランスは世界の二大王国。中でもイタリアは、サッカーだけでなく、自転車の世界でも群を抜いています。天才的なロードレーサーを次々に輩出しているだけでなく、高い技術力を誇る小規模なメーカーが多い。

イタリアの伝説的な人物にレアルコ・ギエラ(Learco Guerra)というヒトがいます。絶頂期だった1930~1934年までの5年間、メジャータイトルを独り占め。長い現役時代を通じて負けたのは数回しかない。1963年、61歳の若さで没しました。彼の生涯は波乱万障。男らしく生きた不屈の精神の象徴とされ、尊敬すべき人物として今でもランクインするほとです。例えば、イタリア選手権(Giro d' Italia)やフランス選手権(the Tour de France)の優勝者だけが着れる栄光のジャージがなぜピンク(イタリヤ)やイエロー(フランス)なのかというと、ギエラが初優勝時に着ていたジャージの色がたまたまソレだったから…。それくらい後世に影響を及ぼした人物なのです。

ギエラへの敬意と彼の思想を次の世代へ伝えようと多くの自転車好きの人々がコツコツと30年間、建設資金への募金を集め、ついに2000年に完成したのが自転車博物館(Cycling Museums in Italy)です。世界唯一。それも彼が現役時に修練の場とした"聖地"に立てられました。この地がミラノ郊外にあるギザロ峠です。自転車好きなら一度はチャレンジしなければならないとされる急勾配の細くて長い峠道です。2007年11月、聖地ギザロを訪れました。私の場合、恐れ多く、その資格も体力も気力もなく、知人の車に乗ってのギザロ詣でした。

峠には小さな教会があり、歴代チャンピョンたちの超高級な愛用車がズラリ献納されています。が、展示を外されたモノも数車あり、「不名誉につき」とその理由が短めに記されていました。また、教会の脇にある博物館の入り口にはギエラの愛用車が展示されています。案外、粗末なモノで大小無数のキズがあり、ハンダ付けした跡すらあります。名誉と不名誉の境はわずかですが天と地ほどの違いがあるように感じました。

国技とされる日本の相撲。外人横綱を「品格がない」と退陣へと追い込んだのはつい先日のことです。それが現役三役を含み、親方までもが、暗黒街の資金源になるであろう賭博行為に関与していたとは…。その現状認識の甘さにはアキれるばかりです。さしずめイタリアならマフィアに関与したことは厳しく処罰されるようですから「不名誉につき」の札付きでギサロ峠から外されることでしょう。日本の場合はどうか。国技は別格扱いされ、穏便な処置とやらで済まされるかも知れません。少なくとも国民の税金で建設された両国国技館です。関取に限らず、不名誉なヒトたちが大手を振って出入りしてもらっては困ります。

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